クロツラヘラサギ Black-faced Spoonbill


クロツラヘラサギ Platalea minor

目:ペリカン目 科:トキ科
属:ヘラサギ属
種:クロツラヘラサギ
Platalea minor
絶滅危惧1B類 〈環境省〉
体長/約74~82cm
体重/約1,460g~2,050g
嘴の長さ/約17~21cm
翼開長/約135~142cm
脚の長さ/約22.5cm


クロツラヘラサギは「サギ(鷺)」という名前がついているのでサギの仲間だと間違われやすいのですが、ペリカン目のトキ科に属する水鳥で、トキと同じ仲間です。 嘴(くちばし)が特徴で、へら(篦)の形に似ていることと、眼のまわりが黒いことから、日本ではクロツラヘラサギ(黒面箆鷺)、欧米ではBlack-faced Spoonbill(スプーンのような嘴)と呼ばれています。

首を左右に振ってエサを採るしぐさや、飛んでいる時に首を伸ばして飛ぶ様子などが、鷺類と見分けるわかりやすい特長です。

クロツラヘラサギとヘラサギ

日本ではクロツラヘラサギとヘラサギの2種が渡来します。とてもよく似ていますが、身体の大きさや目の周りの形や色、嘴の色などが少し違います。左の写真がヘラサギです。目の周りが白いので、White Spoonbillとも呼ばれます。



東アジアの生息地

クロツラヘラサギは東アジアに生息する絶滅が心配されている鳥です。確認されている繁殖地(卵を産んで育てる場所)は、朝鮮半島の西側の黄海上の地域や、中国の遼寧省、ロシアのピョートル大帝湾周辺の地域などです。 特に韓国と北朝鮮の国境付近に点在する島で多く繁殖します。 環境としては、小さな緑の少ない岩の無人島が多いようです。 繁殖時期は3月から6月頃です。寒い冬を避けて南へ移動する越冬地は、台湾、香港、マカオ、ベトナム、日本などです。 近年はタイやカンボジアでも移動が確認されています。20年ほど前から東アジアで保全への関心が高まっており、国際的な調査・研究の協力や啓発活動などが活発に行われています。



繁殖地は小さな無人島

クロツラヘラサギの繁殖地は、朝鮮半島の西北側の黄海上に集中しています。北朝鮮側にも独島などの繁殖島がありますが情報が多くありません。 他にはさらに北の中国・遼寧省にある石城島のそばの2つの無人島と、ロシアのピョートル大帝湾の「フルゲルム島」などが確認されている主な繁殖地です。

クロツラヘラサギが繁殖している場所のほとんどは草木の少ない岩がむき出しの小さな無人島です。それぞれの島はいつも安定した繁殖数ではなく、年によって大きく変化し、繁殖しなくなった島や、新たに繁殖島が確認されることもあります。黄海は干満差が約8mもあるので、繁殖島に船で近づくことも容易ではなく、調査はとても大変です。



九州・沖縄の越冬地

クロツラヘラサギの日本の主な越冬地は、朝鮮半島に近い九州や沖縄周辺の河口や干潟です。 1985年頃から博多湾の今津干潟で定期的に3~5羽の飛来が確認されるようになりました。 その後1995年頃から、博多湾の埋立て地や、熊本県の氷川河口、鹿児島県の万之瀬川河口など、九州各地でも飛来数が急激に増えていきました。現在、九州・沖縄エリアで約40カ所の生息地が確認され、500羽以上の越冬情報が寄せられています。クロツラヘラサギは日本ではまだ新しい種ですが、東アジアの沿岸域や干潟を代表する渡り鳥です。

福岡市・今津干潟

有明海・鹿島市浜漁港



Gallery

福岡市・和白干潟

福岡市・和白干潟

福岡市・和白干潟


福岡市・今津干潟

佐賀市・東よか干潟

佐賀市・東よか干潟


韓国・仁川市江華島 Gaksiam

韓国・仁川市 Mae-do

台湾・嘉義 Auqu wetland



クロツラヘラサギ国際ポスタープロジェクト

韓国・香港・台湾・日本の子供達が描いたクロツラヘラサギの絵でポスターができました。環境保全と国際交流と平和の強いメッセージです。
Black-faced Spoonbill International Poster Project
発行・編集 : ウエットランドフォーラム https://wetland-forum.jimdofree.com/   
協力:ウォーターバードネットワーク韓国、仁川クロツラヘラサギネットワーク、香港バードウォッチングソサエティ、
七股黑面琵鷺生態展示館、王徴吉、team SPOON、日本クロツラヘラサギネットワーク
助成 : エフコープ環境助成事業  クロツラヘラサギ国際ポスタープロジェクトは、エフコープ環境助成基金の助成を受けて実施されています。
〈感謝〉 李淑容、韓希暻、吉松聡三、元岡公民館、東朽網市民センター・里っ子クラブ、クロツラヘラサギを愛する子供たち
●ポスターご希望の方はご連絡ください。cocontei-matsu@nifty.com  
Published, Edited by : WETLANDFORUM https://wetland-forum.jimdofree.com/
In Cooperation with : Waterbird network Korea,  Incheon Black-faced Spoonbill Network,  Hong Kong Bird Watching Society,
Wang Jeng-Jyi,  Chiku Black-faced Spoonbill Museum,  team SPOON,  Japan Black-faced Spoonbill Network,
Subsidy :  FCO-OP Environmental Grant Business
Special thanks : Shujung  Lee, Han Heekyung, Sozo Yoshimatsu, Motooka Public Hall, Higashikusami Civic Center/Satokko Club, Children loving Black-faced Spoonbills